女性向け風俗を利用する女性は10年でどう変わった?2016年から見てきた女風
前回は、2016年からの10年間で女性向け風俗業界がどのように変わったのかを書きました。
今回は反対に、利用する女性側の10年間の変化について書いてみたいと思います。
私が女性向け風俗の仕事を始めたのは2016年。
当時と現在を比べて最も変わったと感じるのは、女性の性欲や性の悩みそのものではありません。
女性が「性」や「女性向け風俗」について話せるようになったこと。
そして、女性向け風俗を利用することへの心理的なハードルが、以前よりかなり低くなったことです。
2016年、女性向け風俗はまだ「よく分からない世界」だった
2016年頃、Twitter(現在のX)で女性向け風俗について発信している女性を、私はほとんど見かけませんでした。
サービスを提供する男性側でさえ、SNSを積極的に使っている人は今ほど多くなかったと記憶しています。
ただ、女性同士の情報交換がまったくなかったわけではありません。
表からは見えないところで、女性たちはmixiなどを使い、女性向け風俗についてひっそりと情報交換をしていました。
今のようにSNSを開けば、
「女風に行ってきた」
「このセラピストに会った」
「こんな体験をした」
といった女性側の投稿が次々に見つかる時代ではありません。
そもそも「女性向け風俗」という言葉自体が、今ほど世の中に知られていませんでした。
知られていないから、情報がない。
情報がないから、怖い。
当時の女性向け風俗には、そんな「得体の知れなさ」がありました。
「東京湾に沈められたらどうしよう」
当時のお客様から聞いた話で、今でも強く記憶に残っているものがあります。
私の著書『女性向け風俗の現場』でも触れていますが、初めて申し込むまでに、かなり大きな恐怖を抱えている女性がいました。
「東京湾に沈められてしまうんじゃないか」
「行ったら複数の男性が出てきて、ひどいことをされるんじゃないか」
「何か薬を飲まされるんじゃないか」
今なら少し大げさに聞こえるかもしれません。
しかし当時は、それくらい**「女性向け風俗とは何をされるところなのか分からない」**状態だったのです。
そのため、ホームページを見つけても、すぐに申し込むとは限りません。
申し込もうと思っている男性のブログやSNSを何度も読み、その人がどんな人なのかを徹底的に調べる。
何か月も見続けて、ようやく問い合わせる。
中には、最初に私を見つけてから実際に申し込むまで1年ほどかかった女性もいました。
それほど、最初の一歩を踏み出すことが大きな決断だったのです。
性の悩みを抱えた末に申し込む女性が多かった
当時の私のお客様には、単純に「楽しそうだから利用してみよう」というよりも、性について長く悩み、その末に申し込む女性が少なくありませんでした。
特に多かったのが40代です。
私の当時の感覚では、
40代が約6割、30代が約2割、20代と50代がそれぞれ約1割。
厳密な統計を取った数字ではありませんが、それくらい40代の女性が多かったと記憶しています。
夫婦のSEXのこと。
長年のSEXレス。
自分はSEXを楽しめないのではないかという悩み。
オーガズムについての悩み。
女性としてこのまま年齢を重ねていっていいのだろうか、という思い。
さまざまな悩みを抱え、誰にも相談できず、インターネットで調べ続けた末に私のところへたどり着く。
そんな女性が多い時代でした。
「スマートフォンがなかったら申し込んでいなかった」
そして、何人もの女性から聞いた言葉があります。
「スマートフォンがなかったら、女性向け風俗には申し込んでいなかったと思う」
これは、とても興味深い言葉でした。
女性向け風俗は、誰にも知られずに調べたいサービスです。
家族と共用するパソコンでは検索しづらい。
検索履歴を見られたくない。
家の中で堂々と女性向け風俗のホームページを見るわけにもいかない。
しかしスマートフォンなら、自分一人で検索できます。
ベッドの中でも、お風呂でも、通勤途中でも、人に知られることなく調べられます。
2010年代後半にスマートフォンが急速に普及したことは、女性が「誰にも知られずに性について調べる」環境を大きく変えました。
私は、スマートフォンの普及と女性向け風俗の広がりは、無関係ではなかったのではないかと思っています。
SNSで女性が「見る側」から「発信する側」になった
そして、この10年間で最も大きかったと思うのがSNSの変化です。
以前は、お店や男性側がホームページやブログで情報を発信し、それを女性が読む。
情報の流れは、ほぼ一方通行でした。
ところがTwitter(現在のX)が広がるにつれて、利用する女性自身が発信するようになりました。
自分が利用した体験。
セラピストの感想。
良かったこと。
残念だったこと。
利用する前の不安。
利用したあとの気持ち。
こうしたことを、女性自身が匿名で発信するようになりました。
さらに女性の性について発信する団体や専門家なども増え、「女性が性について話すこと」そのものが以前より珍しくなくなっていきました。
これは非常に大きな変化だったと思います。
女性向け風俗について知りたい女性が、お店側の説明だけではなく、実際に利用した女性の言葉を読んで判断できるようになったからです。
2021年、「女性向け風俗」という言葉が世の中に出始めた
私の著書『女性向け風俗の現場』が出版されたのは2021年です。
そのとき、出版社の方から言われた言葉を今でもよく覚えています。
「最近、世の中で『女性向け風俗』という言葉を目にするようになってきた。世間も興味を持ち始めているので、本のタイトルには必ず『女性向け風俗』という言葉を入れてください」
2016年に仕事を始めた頃には、そもそも一般にはほとんど知られていなかった言葉です。
それが5年ほど経つと、出版社が**「タイトルに入れた方が読者に伝わる言葉」**として捉えるようになっていました。
私にとって、この出来事は女性向け風俗が水面下の世界から表に出始めたことを実感した出来事の一つでした。
「怖い場所」から、以前よりカジュアルな選択肢へ
2016年頃は、申し込むまでに何か月、時には1年近く悩む女性がいました。
情報が少なく、
「本当に行って大丈夫なのだろうか」
というところから始まっていたのです。
現在はSNSに体験談があり、紹介サイトがあり、テレビや漫画などでも女性向け風俗が取り上げられるようになりました。
もちろん、今でも初めて利用するときに不安を感じる女性はいるでしょう。
また、女性向け風俗である以上、安全性や相手選びについて慎重になることは今でも大切です。
それでも10年前と比べれば、女性向け風俗に対する**「何をされるか分からない怪しい世界」という印象は、かなり薄くなった**ように感じています。
そして利用すること自体も、以前よりカジュアルになってきました。
この10年間で女性の性欲が突然変わったわけでも、女性の性の悩みがなくなったわけでもありません。
変わったのは、女性が自分の性について調べ、他の女性の体験を知り、自分自身で選択できる環境が整ってきたことなのだと思います。
2016年には、水面下でひっそりと語られていた女性向け風俗。
それが今では、女性自身がSNSで体験を語る時代になりました。
私は、この「女性が語れるようになったこと」こそ、この10年間で起きた最も大きな変化の一つではないかと思っています。
※この記事は、2016年から女性向け風俗・女性向け施術に携わってきた筆者が、実際に接してきた女性たちの声や自身の経験をもとに振り返ったものです。年齢構成などは公的統計ではなく、当時の筆者のお客様についての概算です。