セラピスト側の変化――この10年で何が変わったのか
女性向け風俗を取り巻く環境は、この10年間で大きく変わりました。
それは利用する女性だけではありません。
働くセラピスト側も、大きく変化しています。
2016年頃――「何かのプロ」が性感マッサージをしていた時代
私が女性向け風俗を始めた2016年頃。
当時どのような男性が女性向けの性感マッサージをしていたのか、お客さんから話を聞く機会がありました。
例えば、
- 整体師が「裏メニュー」のような形でひっそり行っている
- 性について独自に研究している男性
- 美容師
- AV男優
など。
もちろん全員ではありませんが、印象的だったのは、もともと何らかの専門性や基礎スキルを持った人が、自分の技術の延長線上として行っているケースがあったことです。
現在のように、大型店に応募して研修を受け、「女性向け風俗セラピストとしてデビューする」という明確な入口が、まだ一般的ではなかったからでしょう。
ホームページを作れるだけでも大きな武器になった
一方で、まったく違うタイプの男性もいました。
女性とのSEXを目的として、自分で女性向け風俗のホームページを作っていた男性もいたようです。
なかには、自分自身で「女性向け風俗のまとめサイト」を作り、そのランキングで自分のお店が3位あたりに表示されるようにして集客していた、なかなかの強者もいたと聞きました。
今ならすぐに見抜かれそうな方法ですが、当時はそもそも女性向け風俗店の数が少なく、ネット上の情報もほとんどありません。
そのため、きれいなホームページを作り、検索した女性の目に触れる場所を確保できれば、それだけで集客につながる時代でもありました。
性感マッサージ自体は、もっと昔から存在していた
もちろん、女性向けの性感マッサージそのものが2010年代に突然生まれたわけではありません。
1980年代には、テレビの深夜番組などでも性感マッサージが取り上げられ、「性感マッサージの始祖」とも呼ばれたドクター荒井の存在が知られるようになりました。
ドクター荒井が性感マッサージを始めた背景には、夫婦生活など性の悩みを抱える人たちを助けたい、という目的があったとされています。
この流れを考えると、もともとの性感マッサージには、単なる性的サービスとは少し違う、
「性の悩みを解決するためのマッサージ」
という側面もあったのだと思います。
2016年頃、施術する男性が女性たちから「セラピスト」よりも**「性感師」**と呼ばれることがあったのも、その名残だったのかもしれません。
現在――「お店に入ってセラピストになる」時代へ
それから10年。
現在は状況が大きく変わりました。
大型の女性向け風俗店がいくつも登場し、
応募する
↓
研修を受ける
↓
セラピストとしてデビューする
という入口ができました。
整体やマッサージなどの基礎スキルを持っていなくても、研修を受けることでセラピストとしてスタートできます。
これは業界にとって非常に大きな変化です。
以前よりも圧倒的に「始めやすい仕事」になりました。
また、大量の男性を登録させている店舗もあります。
大型店の登場によって、女性向け風俗で働いてみたい男性が、この世界に参加するハードルは大きく下がりました。
「登録できる」と「お客さんがつく」は別の話
しかし、ここに現在の難しさがあります。
セラピストとして登録することと、お客さんから選ばれることは、まったく別の話です。
入口が広がったことで、当然ながらセラピストの人数も増えました。
女性から見れば選択肢が増えたことになります。
一方、男性側から見れば競争相手が一気に増えたことになります。
同じようなプロフィール。
同じような写真。
同じようなサービス内容。
その中から女性に「この人にお願いしたい」と思ってもらわなければなりません。
そのため現在は、技術、接客、人柄、発信力、専門性など、何らかの特徴を持たなければ埋もれやすくなっています。
参入しやすくなった。しかし、生き残るのは難しくなった
2016年頃は、
「この仕事を3年続けられる男性は少ない」
と言われていました。
ところが現在では、
「3か月続く男性すら少ない」
という話を聞くことがあります。
もちろん正確な統計があるわけではありません。
しかし、この言葉には、この10年間の業界の変化がよく表れているように思います。
2016年頃は、そもそもこの世界に入ってくること自体が特殊でした。
現在は、大型店の登場によって誰でも比較的参加しやすくなった。
しかし、参加する男性が増えたことで競争は激しくなりました。
つまり、この10年間で起きた変化を一言で表すなら、
「セラピストにはなりやすくなった。しかし、セラピストとして生き残るのは難しくなった」
ということなのかもしれません。
女性向け風俗が一部の人だけが知る世界から、一つのサービス業として拡大していくなかで、利用する女性だけでなく、そこで働く男性たちもまた、大きく変化してきたのです。